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21人の台所を紹介した本で、どの台所もよく使い込まれた道具や自分でリフォームした扉や棚など工夫がこらされており、こだわりと共に使い勝手のよさが際立っている。

先ず小さな台所の持ち主、塩山奈央さんの台所;

木造アパートの流しとコンロだけの台所では驚くほどの工夫が凝らされていて驚く。
それは頭の上にも手元にも棚をとりつけ、ぶらさげられている。壁には2本の細いポールと木の枝を上下に渡してあって、お玉、計量カップ、ニンニク入りの小ざる、思いつく限りの軽い調理道具がぶら下がっている。
 狭い台所を嘆く人は多いけれど、この台所の使い方を見ると反省させられる。
つまり自分が必要とすることは何でも工夫すること。小さなスペースをいかにやりくりするか。そこがその台所の持ち主の知恵なのである。
自分サイズの暮らし。それをいかに工夫し楽しむか。その生きる知恵をこの台所から学んだ

 次に紹介するのはホルトハウス房子さん。彼女の料理をどれだけ参考に作ったか知れない。

 その台所はフランスの鍋や北欧の台所道具が一杯。しかしお鍋を見て驚いた。
 「ル・クルーゼ」の小鍋は何十年と使い込まれてほうろうの底ははげて鋳鉄がみえているほど使い込まれている。
  ホルトハウスさん曰く:

 「素性のいいものには、いつしか年輪みたいなものがつくんでしょうね。なじんで、独自の、よそゆきじゃない美しさが生まれてくる。するとまた捨てられなくて」と。
 また台所製品を買うときのポイントをこういう。

「台所のものを買うときはいつも思い切ってきたわね。ちょっといいわぐらいじゃ買わない。質はどうか、使い勝手はどうか、しまう場所も考えて、置いて綺麗かどうかも。」


 料理研究科の渡辺有子さんの台所の場合:

 どこもかしこもぴかぴか。
食器を洗うのとおなじように、換気扇やガス台の五徳も、毎日掃除。
「まとめて大掃除するほうが面倒。だから「常ぶき」する「食べた後の食器を洗うのと同じ感覚なんです」とのこと。
おー!私もガス台の五徳まで洗うけれど、換気扇までは毎日そうじしてませ〜ん!
ほかにたくさんの台所があり、工夫があり、それぞれのこだわりがあって、参考になることばかり。

 みんな共通することは自分の使いやすさ、使い勝手のよいように工夫されていて、そこにはよそゆきじゃない自分だけの「台所の美」が生まれていることだ。
 モデルハウスのシステムキッチンは美しいけれどそこには生活がひとつも感じられず料理のにおいがないただの場所でしかない。

 寒い夜、心づくしの一杯のスープにほっと心も体も温まった経験は誰にもあるだろう。
そんなあたたかさは台所から生まれるのだ。
「台所」にはその台所の主の年輪と愛情と知恵が詰まっている。
 そんな「台所」を紹介してくれた素敵な本だった。

# by zoushoin | 2019-02-23 23:26 | 読書の備忘録 | Comments(0)

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「さよならをもう一度」Goodbye Againはフランソワーズ・サガンの小説「ブラームスはお好き?」を映画化したもの。
昨夜は遅くまでこのDVDを鑑賞。
余韻に浸る夜となった。

ブラームスの交響曲第3番第3楽章が、テーマ曲として使われている。
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さよならをもう一度 マーティ・ゴールド・オーケストラ <YOUTUBE>から


監督・製作:アナトール・リトヴァク
脚本:サミュエル・テイラー
撮影:アルマン・ティラール
音楽:ジョルジュ・オーリック
配役:
イングリッド・バーグマン
イヴ・モンタン
アンソニー・パーキンス

あらすじは:

夕暮れのパリ
聴いたことのある曲(ブラームス)が流れて映画が始まる。
パリでフリーのインテリアデザイナーとして働くポーラ40歳(バーグマン)には、8年間続いている恋人ロジェがいる。
彼は社会的地位もあるのだが生来の浮気性のモテ男(イヴ・モンタン)
ポーラも最初の頃こそ彼に夢中になっていたが、いまでは埋められない寂しさを感じている。
でもまだ愛はある。だから別れられない。
ロジェだって遊んではいるけれど彼にとって彼女は特別なひと。
そんな状態のところに、仕事関係で知り合ったアメリカの大富豪の息子フィリップ25歳(アンソニーパーキンス)が、美しい彼女を見て
一目惚れしてしまう。それから彼のポーラへの猛アタックが始まる…。

設定は40歳であるがバーグマン46歳の時の作品。
15歳も若い男に言い寄られるが、年齢差と世間体を気にかけるバーグマンの、憂いに満ちた目が時として陰るとき、美しさの奥に揺れ動く女ごこころを絶妙に演じていて惹かれる。
そしてモテテ、モテてしょうがない浮気男をイヴ・モンタンが地で行っているのではないかと思うほど、粋な伊達男ぶりが最高。
こんな男だと知っていても、女は皆コロっていってしまう。多分、わたしも(えへっ!?)

そしてナイーヴな25歳の若き富豪の御曹司を演じるアンソニー・パーキンスの繊細で甘えん坊で、傷つきやすい若者ぶりの演技が可愛いばかりに、いたいけで、うまかった。
彼はこの演技でオスカーを取った。

イングリット バーグマンが
最後に「ワタシは若くないのよ〜」と、若いアンソニー パーキンスに叫ぶシーン は、年齢って残酷。

バーグマンの衣装はディオール
三連のパールのネックレスが素敵!
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あのジャックリーヌ・ケネディ(オナシス夫人)も、素敵な三連のパールを着こなしていたが、本当に素敵。

若い女の子と二股も三股もして浮気ばかりするロジェ40歳~50歳のイヴ・モンタン が、これまた渋くて、姿が良くて、おしゃれでカッコよくて、帽子姿、トレンチコートの着こなしが抜群。

別れたあと、ダンスしながらそっとバーグマンの手を握るところ、バーグマンも、握り返すところが、「男と女」というものの魑魅魍魎な世界を描いて白眉。
40歳過ぎた女、バツイチ。恋人は浮気者。
もう若くない自分を自覚しだした女ごこころと忍び寄る孤独と老い。
なんだか身につまされた。
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題名の「Good bye Again」「さよならをもう一度」の意味が深長。この先を予感させるとはタイトルはあざとい!

# by zoushoin | 2019-02-23 20:23 | 音楽・能・演劇・映画。展覧会のレビュー | Comments(0)

すあま

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ひな祭りもすぐです。そこで今日は桃のお節句にふさわしい和菓子を作ってみました。
 ほんのり桜色をしたやさしい味の「すあま」です。
   「すあま」
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「すあま」は柔らかいもち菓子です。
やさしい甘さが上品でしみじみおいしいです。

材料
上新粉50g
砂糖50g
塩少々
水100ミリリットル
片栗粉
ピンク色にするには(食紅少々、水小さじ1/4)

作り方
①上新粉、砂糖、塩少々を耐熱容器に入れ混ぜる。水を少しずつ加え乍混ぜる。(ピンク色のすあまにするなら食紅少々を水で溶いて薄いピンク色にする)
②ラップをして電子レンジ(500w)で2分加熱する。電子レンジから取り出しよく混ぜる。
③再度電子レンジで1分加熱し、取り出してよく混ぜる。同じように4〜5回生地に透明感が出てまとまるまでくりかえす。
④あついうちに片栗粉をふったまな板の上に取り出す。5ミリ〜1cmの厚さに伸ばし、型などでぬく。
型でぬかずに、一口だいに手でまるめてもよい。

※上品な甘さの「すあま」はしみじみおいしいですよ。
女の子のお節句にこんなやさしい和菓子はいかがでしょうか。

# by zoushoin | 2019-02-23 09:03 | 料理とお菓子 | Comments(0)

会話の妙

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   サハラ砂漠を行く隊商

同じテイスト、似たような趣味・趣向の人というのはなんとなくわかる。
心の糸をピンとかき鳴らすと、遠くどこかで共鳴して鳴る。
そんな感じの人に巡り合うことがある。
旅をしていても、写真を撮ると、観光客が狙って写しているのとはまるで違う風景を写すことが多い。
夢中になって写していると、そこに同じようにピントを合わせている人がいる。
別のところへ行くと、また同じ被写体に向けてカメラを向けている人がいる。
お互いのカメラを見ると、同じものを持っている。
そこから会話が始まる。
カメラ談義をしているうち、打ち解けてくる。
相手はプロのカメラマン。
「おお!そうでしたか。恐れ入りました」となる。

それとはまるで別で、自分とは別世界の人と巡り合うと、これまた衝撃的。
食事をしながらくいいるように聞く。
話の隙間にちょっとだけ言葉を挟ませてもらうと、「お!」という顔になる。
そこから仲間に入れてもらうように、会話が弾むと、食卓が話のごちそうになる。
そこだけで終わる人もいれば、旅から帰ってきて、また再会することもある。

会話はピンポンのようなもの。
打ち手がいて、返す人がいる。
その絶妙なタイミングが合わなければ、球はそれてころがってしまうだけ。
何か一つ語るものを持っていたいものだ。



# by zoushoin | 2019-02-22 14:14 | 日記 | Comments(2)

苺のコンフィチュール

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 朝摘みの苺です。
 近くの苺ハウスで不揃いのジャム用苺を毎週買っています。
 この箱いっぱい2kgで700円。三度三度いちごのデザートって我が家の贅沢です。

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自家製苺のコンフィチュール作ってみました。
 
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苺600gに製菓用極細グラニュー糖400gにレモン汁一個分を混ぜて一晩寝かします。
翌日中火の強火で5分ほど煮詰めて出来上がり。

# by zoushoin | 2019-02-22 01:13 | 料理とお菓子 | Comments(2)

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  台所からほの暗い恋の川柳をうたった主婦がいた。
 俳句と言うほぼ同じ詩形をもつ川柳だからこそ一首が輝いた不倫の歌。
 『有恋夫』を書いた時実新子。
 俳句だと品格が落ちてしまいがちな句を、川柳にすると、生き生きとしたものになる不思議。

・熱の舌しびれるように人を恋う
・ぬけがらの私が妻という演技
・しあわせをひょいと感じるゴマがはぜ
・てのひらで豆腐を切って思慕を断つ
・まみどりに菜を茹で罪から逃れよう
・愛から戻り魚を焦がす裏表


時実新子は結婚生活を次のように言っている。
 「結婚生活の地獄はあくなき暴力にあったのではなく、最後まで夫を好きになれなかったことだ」
 と言っている。(『再婚ですが、よろしく』海竜社から)

   ・逢うて来て素麺の束ほぐすなり


不倫をして帰ってきた台所で素麺の束をぱらりとほぐすときの心境はぞくっとするほど鬼気せまる。
一家のほのぼのとした愛がはじまるはずの台所で、一人の主婦が不倫の恋のほてりをさましながら夕餉のしたくをしているかとおもうと、ぞぞぞぞとするが、一方、その感情をぶつけるように一句にしたためるというこの文藝のすごさというものにも感慨深いものがある。

「不倫」と言う言葉が大手を振ってあるくようになった昨今の風潮のさきがけのようなものを作った人か?
川柳というジャンルに一風変わった空気を入れた人かもしれない。

さて、わがやの台所では何が煮えているだろうか?
恋の火種はどうやらないようなのが悔しい。
# by zoushoin | 2019-02-21 21:55 | 詩歌に寄せるエッセイ | Comments(4)

認知症二つの介護の方法

 
認知症の方を介護されているご家族や介護士さんたちは、日々大変なことが多いことでしょう。
 私も舅、姑が認知症になり介護の大変さは身にしみて知っているつもりです。
 また実家の父の介護のため新幹線の回数券を買って遠距離介護を数年してきました。
 新幹線の車中にいる時だけが安らぎのひとときでした。
 今、認知症の方のお話相手として、関わっていて、気がつくことが多いです。
 今日はその介護の方法を学んできました。
 ※参考までに次の二つ療法を記しておきます。
  
 バリデーションという認知症の方たちとのコミュニケーション術のレクチャーとワークを受けてきました。

バリデーション療法は、アメリカのソーシャルワーカー:ナオミ・フェイル(72)さんが開発した、認知症の方たちとのコミュニケーション術のひとつです。
 
 バリデーションは元々、「確認する、強くする、認める」の意味に用いられますが、フェイルさんによると、認知症の人の「経験や感情を認め、共感し、力づける」意味でバリデーションという言葉を用いているそうです。
 バリデーション療法の特徴は、認知症の方が騒いだり、徘徊したりすることにも「意味がある」として捉え、なぜ騒ぐのか、なぜ徘徊するのかを患者の歩んできた人生に照らして考えたり、共に行動したりするというもので、「共感して接すること」に重点を置いた療法です。
 共感することで、高齢者の自尊心の回復や不安の軽減を図るとともに、介護者自身も前向きに気持ちを持てるというものです.

フランス生まれの認知症ケア「ユマニチュード」
 
「ユマニチュード」は、
*見つめること(同じ目の高さで、正面から、近くから長く)
*触れる事
*話しかける事(頻繁に、優しく、前向きな言葉で)
*立つこと(立つ様に支援すること)
を基本とした人間の存在(尊厳)を主眼とした看護の手法の集大成が「ユマニチュード」。

【ケアの事例1】同じ目の高さで、正面から、相手の顔から20センチくらいの距離で、長い時間をかけて、みつめます。上から見下ろすと、強い立場にあることを感じさせてしまうので、あくまでも同じ目の高さで。
 認知症の人は視野が狭いので、正面から近くで時間をかけてみつめるのは、親近感を示すためです

【ケアの事例2】話しかけ方のポイントは、頻繁に、優しく、前向きな言葉で
ケアを始める時には、これから何をするか丁寧に説明し、楽しく心地よく感じてもらえるよう、声は優しく。
ケアを終えた後もそれがどうよかったか、話しをします。

※ユマニチュードには4つの柱がありますが、家庭でもできる3つを紹介しましょう。

 ●最も大切なのは「見る」こと。相手を威圧する見下ろす視線や、斜めや横からの視線は避け、同じ目の高さで話す。対等な関係を伝えるためだ。認知症の人は視野が狭いため、近づくときは正面から近づき、鼻先20センチくらいの距離から見る。チラッとではなく、「0.4秒以上」見る。

 ●話すときは前向きな言葉を選ぶ。医療機関では「おはようございます。点滴です」より、「おはようございます。良い天気ですね」と話を始めることが推奨される。会話を楽しんでいる雰囲気を伝えるためだ。相手の反応がなくても黙りこまない。2人で体を拭くときは、一人が患者の体を支えて前から向き合い、視線をとらえて話す役になり、もう一人が体を拭く役になる。

 ●立てる人には、歯磨きや清拭の際に立ってもらう。筋力保持のためだけでなく、立つことで視界が開け、より多くの情報が届くという。

参考になるといいですが。


# by zoushoin | 2019-02-21 14:51 | 日記 | Comments(4)